オピック”知っ得情報” 10月号
オーストラリアは新型コロナに伴う、規制解除方針に基づき、州境の解除も段階的に行われ、クリスマスに向け往来の自由度を上げ雇用の確保を進めつつ、国内経済の活性化に動き出しています。
今月は経済の話題です!!
豪州経済このまま厳しい状況からの回復計画 ☛☛
■オーストラリア財務相は6日、遅ればせながら今年度(2020年7月~21年6月迄) 予算について「数十億ドル規模の減税と歳出により雇用を促進し、コロナの影響で低迷する経済の回復を目指す一方で、財政赤字は過去最高水準となる」と発表し、向こう4年間で100万人の新規雇用を創出する計画を打ち出し、雇用促進のための新規プログラムに52億豪ドルのほか個人向けに178億豪ドル規模の減税を盛り込みました。
これで財政赤字は過去最高の2137億豪ドルとなり、対国内総生産(GDP)比で11%に達する見込みです。
■豪中銀(RBA)は、今回も政策金利を0.25%に据え置き、追加措置を講じる可能性も示唆し、「高止まりしている失業率への対応が重要な国の優先課題」とコメントしました。市場は11月に政策金 利が更に0.15%に下がる可能性を予測しています。
■2019/20年度に発表されたオーストラリア企業が国内外で関わる合併・買収(M&A) 取引の総額が、134億豪ドル(約1兆133億円) と前年度比71%減少したことが分かり、過去5年間の1年当り平均360億豪ドルの約3分の1となりました。
一方、関連業務を行う法律事務所や投資銀行などは、年末に向けて再びオーストラリア企業のM&A活動が活発化すると楽観的です。
■豪住宅価格ですが、大手不動産コンサル会社によると、9月は5カ月連続で前月比0.1%の低下(8月0.4%低下、7月は0.6%低下) となり、シドニーとメルボルンの2大都市の低下が響いた結果ですが、他の主要6都市では価格と物件数ともにプラスに転じています。
新型コロナ感染予防策の移動制限は大半の地域で解除されてきており、豪住宅価格の前月に対する低下は鈍化傾向が見られ、前年同月比では4.8%の上昇になっています。
主要都市全体の価格は前月比0.2%の低下(前年比は4.9%の上昇)。
メルボルンは前月比0.9%低下で、ロックダウンによる競売の減少のほか、購買層の信頼感が低下したことが原因です。
シドニーも前月比0.3%低下(8月は同0.5%低下)ですが、ホバート、ダーウィン、アデレードなど他の主要都市は前月比0.2~1.6%上昇し、首都圏から地方主要都市への分散傾向が見られます。
■住宅市場の今後の見通しですが、労働市場が依然として弱い中で、政府の支援が削減され、住宅ローンの返済猶予も縮小される中、さらに逆風にさらされると指摘されています。
前向きな材料は、低水準の住宅ローン金利と更なる金利低下の可能性、在庫の少なさ、政府奨励策、消費者心理改善などが、総合的に新型コロナのマイナス影響を上回ってきていることです。
■失業率は、7月に7.5%と22年ぶりの高水準を記録。政府の経済見通しでは、失業率は今年度末に7.25%へ上昇するが、2023年6月には6%へ低下する見込み。
GDPは今年度は1.5%のマイナスとなり、来年度は4.75%の成長に戻るとしています。オーストラリア経済回復への合言葉は、「雇用の回復なくして景気回復はなく、財政の回復もない」です。